エアコン屋で年収1000万は夢?現場のリアルなキャリア戦略を公開

「エアコン屋で年収1000万円いけるらしいよ」――そんな話を耳にしたことがあるかもしれません。けれど、実際に現場で働いたことがないと、半信半疑になるのが自然です。設備系の仕事に関心はあるけれど、「体力的にきつそう」「どこまで稼げるのか分からない」と迷ってしまう人も少なくありません。


とくに最近は、個人事業主として活躍する職人や、自社で施工から管理まで手がける人たちのSNS投稿も目立つようになりました。その影響で、「稼げる仕事」として空調設備の世界が注目されつつあります。ただし、こうした“夢の数字”には条件もあるのが現実です。


この先、どんなスキルが必要で、どんな働き方を選べば、収入を上げていけるのか。年収1000万は本当に現実的なのか。それとも一部の例外にすぎないのか。現場のリアルに即して、光と影の両面をしっかり見ていきましょう。




実際にいる!高年収の人たちはどんな働き方をしているのか

エアコン屋で年収1000万円を達成している人は、確かに存在します。ただし、これは単に「空調設備の仕事をしていれば誰でも届く金額」というわけではありません。共通しているのは、明確な戦略と働き方の工夫です。


まず代表的なのは、法人化してチームを持つ施工管理タイプの人です。元請けから仕事を直接受ける立場になり、施工・段取り・人員管理まで一括でこなすことで、利益率を高めています。また、自分自身が現場にも出ながら複数案件を同時に進める「プレイングマネージャー型」も少なくありません。


次に多いのが、繁忙期を中心に高稼働する請負型の個人事業主。住宅や店舗の入替需要にあわせてフットワーク軽く動き、休日返上で対応していくスタイルです。拘束時間は長くなりがちですが、1件あたりの単価が高いため、短期的に収入を大きく伸ばすことができます。


他にも、電気・配管・冷媒処理など複数領域の技術を兼ね備え、1人で完結できる職人は重宝されやすく、工事単価の交渉もしやすい傾向にあります。


ただし、こうした高収入の人たちは、技術や段取りだけでなく、営業力や信頼構築にも長けています。元請けとの関係性を築いたり、追加工事の提案を的確に行ったりと、現場以外のスキルもフル活用しているのが実情です。


一言で「年収1000万」といっても、その裏には日々の努力と判断の積み重ねがあります。収入を上げるには、まず自分がどのスタイルを目指すかを見極めるところから始まります。




全体平均はどれくらい?月収・手当・繁忙期収入のリアル

エアコン屋の世界で年収1000万が話題になる一方、多くの人が気になるのは「普通に働いてどれくらい稼げるのか」という現実的なラインでしょう。実際のところ、空調設備工として働く人の年収は、おおむね350万円〜600万円程度がボリュームゾーンとされています。


未経験から正社員としてスタートした場合、最初の数年間は年収300万台が一般的です。月収にすると20万円前後で、ここから残業や手当が加わっていくイメージです。仕事に慣れてきて現場を任されるようになると、手当込みで年収450〜500万円台に届くケースが増えてきます。


また、この業界は繁忙期の収入差が大きいのも特徴です。とくに6月〜9月の冷房シーズンや、年末にかけてのリニューアル需要が高まる時期は、休日返上で現場が立て込みます。職場によってはこの時期だけで数十万円〜100万円単位の上乗せが出ることもあります。


一方で、年中安定して仕事があるわけではないのも現実。季節性があるぶん、閑散期には休みが多くなったり、手取りが下がったりすることも珍しくありません。そのため、年間通じての収入バランスを考える必要があります。


賞与(ボーナス)は企業によってばらつきが大きく、出ない職場もあれば、年2回しっかり支給するところもあります。住宅手当や家族手当が付く会社もありますが、個人事業主や請負型で働く場合は、そのあたりは完全に自己管理となります。


つまり、「稼げる額」ではなく「稼ぎ方」が分かれ道になります。高収入を狙うには、業務内容だけでなく、雇用形態や働き方も含めて考えていく必要があるのです。




どうすれば収入が増える?現場で差がつくポイントとは

空調設備の仕事で収入を伸ばしたいと考えたとき、単純に「現場数をこなす」だけでは限界があります。実際に年収を上げていく人たちは、戦略的に自分の「価値」を高める動きをしています。その中でも特に効果が大きいのが、スキルと信頼の蓄積です。


まず注目したいのは資格。たとえば「第二種電気工事士」や「冷媒回収技術者」、さらには「管工事施工管理技士」などを取得することで、業務の幅が広がるだけでなく、資格手当がつく企業もあります。とくに施工管理技士は、現場全体のマネジメントができる立場になれるため、給与のベースアップにも直結しやすいです。


また、実務スキルも見逃せません。配管や溶接、ダクト工事など、専門領域を深掘りするのはもちろん、「段取り力」や「トラブル対応力」といった現場全体を俯瞰できる力も評価されます。1人で任せられる現場が増えることで、信頼が収入に変わっていく流れが生まれます。


さらに、元請けや顧客との関係構築も大きな武器になります。工事完了後のフォローや、追加工事の提案などを丁寧に行うことで、次の案件に繋がるケースも多く、いわば「紹介で仕事が回ってくる」状態を作れると、報酬交渉の主導権も握りやすくなります。


もちろん、独立や請負に進む道もありますが、これはあくまで「現場力」と「経営意識」の両方が備わってこそ成立する選択肢です。焦って独立するよりも、まずは会社員として土台を築き、信頼と経験を積み重ねていく方が、結果的に安定して収入を伸ばしやすくなります。


着実に、そして確実に。「どう稼ぐか」の道筋は、自分でつくっていくしかありません。




体力・責任・時間…高収入には代償もある

「エアコン屋で年収1000万」と聞くと、華やかなイメージを持たれるかもしれません。しかしその裏側には、決して軽視できない負担やリスクがあることも知っておくべきです。まず第一に挙げられるのは、体力的な厳しさです。夏場の屋根裏作業や、重量機器の搬入・設置は、20代でも消耗が激しく、40代以降になると体力の維持そのものが課題になります。


また、請負型や独立型で収入を伸ばしている人は、休日返上で働くのが基本です。繁忙期には朝から深夜まで現場を掛け持ちし、事務処理や資材発注も自分でこなすため、プライベートの時間はほとんど取れません。年収が高いのは、裏を返せば「時間を売っている」ことと紙一重の状態でもあります。


さらに、現場責任者や元請けの立場になるほど、トラブル対応やスケジュール調整といった精神的負荷も増します。作業員や下請けとの連携、クレーム対応、現場での安全配慮など、施工以外の部分で気を遣う場面は少なくありません。年収が高くなるにつれて、求められる責任もまた重くなるのが現実です。


加えて、個人事業主としての不安定さも見逃せません。ケガや病気で現場に立てなくなった途端、収入が途絶えるリスクがあります。仕事が詰まっているうちは気づきにくいものの、いざというときに備えた保険や資金管理は必須です。


それでも、「収入を上げたい」「手に職をつけたい」という思いがあるなら、まずは経験を積める環境で働きながら、自分の適性と限界を見極めていくのが堅実な道です。


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年収1000万は「狙える」けど「簡単」ではない。そのうえで考えたいこと

エアコン屋として年収1000万円を実現している人たちは確かにいますが、それは特別な条件や努力があってこそです。現場力・資格・信頼・営業力、どれが欠けても到達は難しく、体力や時間、責任といった代償も避けられません。


けれど、そのことを踏まえたうえで、自分が「どこまでを目指すのか」を考えるのは、とても前向きな一歩です。高収入だけが正解ではなく、安定や働きやすさを重視してもいい。まずは今の自分にとって何が大切かを整理しながら、できることをひとつずつ増やしていけば、自然と選べる道も広がっていきます。


無理をする必要はありません。でも、立ち止まらずに「考え続ける」ことが、働き方や収入を変える第一歩になるはずです。


※気になることや不安な点があれば、まずは相談からでも構いません

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